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代表者 川北秀人

IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]
代表者 川北秀人
IIHOE:「地球上のすべての生命にとって、民主的で調和的な発展のために」を目的に1994年に設立されたNPO。主な活動は市民団体・社会事業家のマネジメント支援だが、大手企業のCSR支援も多く手がける。

当意見は、本報告書の記載内容、および同社グループの総務・人事・国際企画・代理店・CSRの担当者へのヒアリングに基づいて執筆しています。
同社グループのCSRへの取り組みは、環境負荷、とりわけ紙使用量の削減や人的多様性の向上を中心に先駆的に進められ、明確な目標設定に基づく全社的なPDCA(マネジメント・サイクル)の推進体制の整備が着実かつ高い水準で進められていると言えます。

本意見の執筆に際して、人事部から人事制度の改正、障碍を持つ従業員の勤続支援などの取り組み、総務部から「紙使用量総合管理計画」や社有車のエコ安全ドライブの推進状況、代理店業務企画部から代理店における環境配慮調達や社会貢献活動、CSR・環境推進室、国際企画室から国内外のグループ全体での推進体制の整備状況など、各担当者からの10年度の取り組みの報告を受けた後、今後の進め方に関する質疑応答などをそれぞれ1時間程度、合計6時間にわたって聞き取りと意見交換を行いました。

高く評価すべき点

  • 全社的なCSRマネジメント体制の整備について、損害保険会社の本業に根差してCSRを推進するために「4つの重点課題」を明示し、08年度から本社・事務本部の全ての部・室とグループ会社で、CSR・環境目標と実施計画を必須化していること(P10・12)。また、中国の現地法人で独自のCSR報告書発行を開始していること(P13)。今後も、各部室・グループ会社の工夫や課題を横断的に共有し、現場同士の連携による改善を促す機会が設けられることに引き続き期待します。
  • 本業である金融による社会責任への取り組みとして、企業の生物多様性リスク評価(P19)やタイでの天候インデックス保険(P20)などを相次いで開始・拡大していること。また経済的な事情により私立学校への進学を断念する子どもや家族を支援するために、私立小中学校向けに「授業料等債務免除費用保険」(P30)を提供していること。
  • 紙の使用(P17・18)について、09年度から「紙使用量総合管理計画」を策定し、営業部門を含む全社の月次経費目標にも印刷費・用紙代削減を盛り込むとともに、帳票類・約款の電子化、約款・しおりなどの書体変更などにより、大幅な削減を維持していること。他社のモデルとなる包括的な取り組みとして非常に高く評価するとともに、今後は「契約あたりの紙使用量」削減がさらに進むことを期待します。
  • 二酸化炭素の排出量について、2020年までに02年比40.5%以上、2050年までに同56.0%以上削減する中長期目標を明示し、10年度実績も同36%減を実現していること。今後は、毎年1%減を継続するという意欲的な目標の着実な実現に期待します。
  • エコ安全ドライブの促進について、全課支社が参加して燃費と事故率のコンテストが開催されたこと。今後は代理店や、従業員の勤務時間外の取り組みも促されることを、強く期待します。
  • 顧客との接点について、寄せられた声の概要と取り組み状況をまとめた「お客さまの声白書」の発行を継続していること。今後も、問い合わせや苦情の要因や背景を掘り下げて分析し、顧客の満足や利便性の向上に結び付くことを期待します。
  • 国際的なイニシアティブへの参画・協力について、国内外の金融機関に先駆けて率先して参加するとともに、ISO26000の策定にも主導的な役割を果たしたこと(P14、43)。
  • 社会貢献活動に対する従業員・代理店の参加について、約4割の役職員が「ちきゅうくらぶ」に年間2400万円以上を提供し、協働の森づくり事業をはじめとする地域に根差した社会貢献活動を、代理店とともに実践し続けていること。また、「E-ことCSRポイント」制度によりグループの2万名近い役職員が各自の取り組みを自己点検し、その寄与度の換算額164万円をNPOに寄付したこと(P36)。本業を生かした社会貢献活動として、障碍者対象のパソコン教室や高校生向け職場体験プログラム(P34)、代理店による車いす清掃活動(P38)を行っていること。今後は、従業員の持つ専門性や技能を生かした社会貢献活動(プロボノ)の拡充にも期待します。

取り組みの進捗を評価しつつ、さらなる努力を求めたい点

  • 代理店による取り組み(P18)について、全国約5500店中の約7割がグリーン購入を促進するシステムに登録し、その半数以上が利用していることを評価するとともに、今後は、同システムに参加しにくい代理店においてもグリーン購入が進むよう促し、夏の省エネ事例集発行やエコ安全ドライブのコンテストなどの実施に期待します。
  • 従業員の働き続けやすさの向上(P40)について、長時間勤務や有給休暇取得率の改善が続いていることと、育児・介護のため休暇・短時間勤務制度の利用者が全従業員の3.08%に達していることを評価するとともに、業務プロセス効率化によって総労働時間短縮や休暇取得、育児・介護・看護を支援する諸制度の利用をさらに促すことを、引き続き期待します。
  • 障碍を持つ従業員の雇用の促進(P40)について、今年度も全国で43名以上を新規採用したことを評価するとともに、障碍を持つ従業員の働き続けやすさを向上するために、職場横断的に交流できるコミュニティの形成を促すこと。

CSRにおける世界的なトップランナーとして、期待したい点

  • 顧客・市場のグローバル化の一層の進展に対応するために、各国・地域の文化や法令などへの適切かつ効果的な対応を支援するサービスを拡充すること。
  • 国内従業員については家族の介護ニーズの高まりつつあること、グループではグローバル化への対応が必須であることなどから、人的多様性の向上と活用のために、グループ全体の10年後を視野に入れ、部門・法人の枠を超えた人的ポートフォリオを想定し、人材の採用・育成・交流などあらゆる機会を通じて推進する統括責任者(Global Human Resources Officer)を任命すること。
  • これまで社会貢献として「木を植える人を育てる」環境への取り組みからさらに進んで、防犯、防災、事故防止、エコ安全ドライブなど、リスク・マネジメントに豊富なノウハウを持つ会社だからできる「安全・安心を守る人を育てる」活動がさらに増えることを期待します。この関連で、中央省庁との連携を強化することによって、全国各地での自治体との協働がより効果的に行われることも期待します。

第三者意見を受けて

取締役常務
高橋 薫

川北様には、市民社会組織の視点で2001年度から毎年、第三者意見をいただいており、2010年で10年目を迎える節目の年となったため、今年度(2011年度)のレポートでは会長の佐藤との特別対談を企画し、当社グループのCSRの取り組みを振り返るとともに、未来に向けた課題を共有させていただきました。また各部門とも活発な意見交換をしていただきました。

川北様から「さらなる努力を求めたい点」とご指摘いただいた点について、私はCSR担当役員として真摯に受け止め、改善に向けた努力を継続していきたいと思います。

まず、当社の重要なパートナーである代理店における環境負荷削減の取り組みについては、グリーン購入システムの一層の利用会員数増進を、今夏の節電対策と合わせて推進してまいります。

続いて従業員の働き続けやすさの向上について、総労働時間の短縮、育児・介護・看護を支援する諸制度の利用や障がいをもつ従業員の雇用の促進に引き続き継続的に取り組みます。特に少子高齢化に伴い、従業員の家庭における介護負担が増加するなどの将来の環境変化を踏まえ、会社としても既存制度の課題の洗い出しやさらなる充実を図るなど、中長期的な視野に立ち検討してまいります。

また、今年は東日本大震災を受け、節電対策の一環として在宅勤務も試行的に導入しました。さらに被災地に社員を派遣するボランティアプロジェクトを実施し、ボランティア休暇を活用してもらう取り組みも推進しました。本取り組みを一過性のものとせず、ワークスタイルを見直す機会を捉え、損保ジャパンの人的多様性の向上につなげていきたいと考えています。

次に、「CSRにおける世界的なトップランナーとして、期待したい点」として顧客・市場のグローバル化にあわせた支援サービスの拡充やそのための人的多様性の向上と活用を推進するようアドバイスをちょうだいしました。支援サービスについては、社会的責任に関する国際規格「ISO 26000」に関連して、グループ会社のNKSJリスクマネジメントを通じたCSR経営戦略策定の支援など、企業のグローバル化に伴うサービスを拡充していきます。また、人的多様性の向上と活用については、役員全員が、「人材力日本一」を宣言し、人材育成こそが当社の掲げる最重要戦略のひとつであることを明確にすると同時に、2011年4月に人材開発室内にダイバシティ推進グループを設置しました。今後はこれまで以上にグローバルな市場を意識し、国籍や性別に関係なく多様な人材が活躍でき、働きやすい環境づくりを加速させ、グループ全体の将来を見据えて人的資源の最大活用を進めてまいります。また、グローバルヘッドオフィスとしての本社人事部の役割・機能を見直し、体制を整備してまいります。

損保ジャパングループでは、川北様からいただいたアドバイスや、あらゆるステークホルダーの皆さまからのご意見を取り組みに活かしながら、引き続き社会的課題の解決に貢献できるよう努力してまいります。