ここが知りたい、事故サービス  人身事故と過失相殺

はじめに

  • 交通事故の被害に遭われる方の中には、歩行中や自転車を運転中の方が多く含まれます。歩行中や自転車 を運転中の方は、本来、交通事故(自動車)から守られるべき弱者の立場にありますが、事故の原因となる不注意があった場合に、損害の公平な分担(過失相殺)という観点から、損害全額の補償を受けられないことがあります。
  • 今回は、歩行中や自転車を運転中の方が被害者である人身事故において「過失相殺」が適用されている事例をご紹介するとともに、万が一に備えるための保険として、歩行中や自転車運転中の交通事故による被害も補償の対象となる、人身傷害保険をご紹介します。

「過失相殺」の基本知識

  • 「過失」とは
    交通事故が発生する場合、その原因のひとつとして不注意が考えられます。例えば、脇見運転をして前車に追突してしまった事故の場合は、運転者の前方不注意が原因で事故が起きたといえます。そのような不注意(ついうっかりしてしまったミス)のことを「過失」といいます。
  • 「過失相殺」とは
    被害者にも過失が認められる場合、損害の公平な分担の観点から、加害者に全ての損害を負担させることは妥当ではないと考えられます。そのため、被害者の過失分を加害者の負担すべき損害賠償額から差し引くことを過失相殺といいます。これは民法第722条によって定められております。

<民法第722条2項>
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

  • 過失相殺の要素
    過失相殺は、一般的に以下のような要素を基準に行われます。
    • 道路交通法に定められた優先関係の有無
    • 事故当事者の状態(歩行、車両搭乗の別など)
    • 事故発生時の環境(昼夜の別、交通量などの道路環境など)
    • 事故発生が予想できたか、結果を避けることができたかなど

事例紹介

  • 被害者が歩行者の事例
判例
  • 対面信号機が赤であったにもかかわらず、赤信号の横断歩道の近くを横断していた被害者に70%の過失相殺を認めた事例
    (平成22年7月/大阪地裁)
  • 夜間に道路を横断した歩行者について、基本的には道路を横断する者がいないと軽信した自動車側の過失であるが、横断にあたり左右の確認が不十分であったことから、20%の過失相殺を認めた事例
    (平成16年6月/東京地裁)
  • サービスエリア内でボール遊びをしながら駐車場内の通路を歩行横断していた小学生に一般道の横断と同等の25%の過失相殺を認めた事例
    (平成10年10月/東京地裁)
  • 夜間に横断禁止の道路を歩行して横断した被害者と、自動二輪が衝突した事故につき、飲酒の上で渋滞車列の間隙を横断した被害者に35%の過失相殺を認めた事例
    (平成14年2月/横浜地裁)
  • 被害者が自転車の運転者の事例
判例
  • 飲酒の上、赤信号の自転車横断帯を横断した自転車が乗用車と衝突した事例について、自転車側の過失相殺を75%と認めた事例
    (平成22年4月/大阪地裁)
  • 自転車で駐車車両の側方を通過しようとして道路中央よりを走行したところ、対向から来た原付バイクと衝突した事故について、自転車としても安全確認をすべきであったとして、自転車の運転者に10%の過失相殺を認めた事例
    (平成13年4月/大阪地裁)
  • 歩行者横断禁止のある幹線道路を横断した自転車と、道路を走行してきた乗用車が衝突した事故について、斜め横断、歩行者の横断が禁止されている道路、ライト不灯火などの事項から、自転車の運転者の過失を50%と認めた事例
    (平成20年10月/岡山地裁倉敷支部)
  • 十字路交差点の一時停止規制のある道路にて、一時停止を無視して交差点に進行した自転車と一時停止のない道路から走行して来た乗用車の出合い頭事故について、一時停止を無視した自転車の運転者に40%の過失相殺を認めた事例
    (平成22年3月/横浜地裁)

万が一の備え:「人身傷害保険」は歩行中の事故も補償

  • ご覧いただいたとおり、不慮の事故で被害に遭ったケースでも、過失が発生すると、事故の相手方から損害の全額(自賠責保険で支払われる金額を超えた損害)を補償してもらえないという事態が発生します。
  • そのような時に役に立つ保険の1つとして人身傷害保険が挙げられます。人身傷害保険は自動車保険ですが、一定の条件のもと、被保険者が歩行中や自転 車運転中に交通事故に遭い受傷したケースでも、ご本人の過失分も含めて被害に遭われた損害を弊社算定基準に基づいてお支払する保険です。
  • 人身傷害保険と一口に言っても、被保険者の範囲や担保範囲が契約によって異なったり、契約方式も、自動車保険に自動付帯されている場合もあれば、特約により付保する方式など様々です。この機会にご自身の保険に人身傷害保険が付帯されているかどうか確認してみてはいかがでしょうか?
  • 是非お近くの弊社代理店までお気軽にお問い合わせください。

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