海外への長期滞在で必要となる保険とは?補償内容と選び方のポイント

Point
  • 海外で利用できる保険は、現地の医療保険・日本の医療保険・生命保険・海外旅行保険などがある
  • 海外で長期滞在をする場合、生活するうえで必要になる補償がある
  • 海外旅行保険は、利用者・支払い総額が増加傾向で、保険料の相場も上昇している
  • 海外赴任の保険の加入方法は、個人契約と会社での包括契約がある

海外で出張や駐在などで長期間滞在するとき、事故や病気などの心配があると思います。
海外の医療制度は、国民皆保険制度を採用している日本とは異なり、保険の種類や加入条件、補償内容がさまざまあります。長期滞在をするならば、現地でも利用できる保険や治療の補償をしてくれる民間保険の加入が必要となるでしょう。
この記事では、海外赴任が決まった人や、海外への長期出張が多い企業の担当者に向けて、海外に駐在中に利用できる保険や補償内容、海外旅行保険との違い、選ぶポイント、加入方法を解説します。

海外で利用できる保険の種類

海外への長期出張や駐在、赴任などが決まったとき、事前に確認しておきたいものの一つにその国の医療事情があります。
特に保険制度は国によって異なるため、利用できる保険を知って備えておくことでトラブルが起きたときに慌てず対処できるでしょう。海外で利用できる保険には、以下のような種類があります。

現地の医療保険

日本の国民皆保険制度のように、海外にもさまざまな医療制度があります。
たとえば、フランスでは、日本と同じく国民皆保険制度を採用、イギリスのNHS(イギリス政府が運営する国民保険)は無償で提供、ドイツは公的医療保険の加入は義務ではありません。アメリカの公的医療保険制度は一部の対象者のみでしたが、オバマ政権下ですべての人が医療保険に加入することができるようになるなど、国によって制度や加入条件が異なります。

加入が義務化されている国では、企業が一括で医療保険に加入する必要があるので、確認をしておきましょう。

日本の健康保険

日本では、すべての国民に公的医療保険(国民健康保険・健康保険組合など)の加入が義務付けられています。海外でケガや病気で治療を受けたときに、医療費の一部が公的保険から還付される「海外療養費制度」もあります。

ただし、海外療養費制度にはいくつか注意点があります。

  • 現地で保険証が使えるのではなく、全額支払いを行い帰国後に請求する必要がある
  • 請求するための書類が必要になる
  • 還付される医療費は、日本の医療費が基準となる

生命保険

保険会社が提供している保険商品の一つで、加入は任意になります。
加入している保険の内容によって異なりますが、海外でのケガや病気などにも対応しています。ただし、保険金は国内での医療費を基準に考えられていることが多いので、実際に支払った医療費より不足する可能性があります。提出書類や変更届なども必要になることもあるので、事前に生命保険会社に確認をしておきましょう。

海外旅行保険

保険会社が提供している海外医療の補償が充実した保険商品で、加入は任意になります。
海外旅行以外にも、長期出張や駐在に特化した商品もあるため、海外生活でトラブルが起こったときでも安心して治療を受けられます。

海外の医療制度は国によって大きく異なります。トラブルが起こったときに、安心して医療サービスを受けられるよう準備しておきましょう。

海外赴任や駐在員向けの海外旅行保険とは

海外で生活するうえで、加入しておくと安心できるのは海外医療の補償に特化している海外赴任の保険です。ここでは、仕事などで海外に長期滞在するときの保険について損害保険ジャパンの海外旅行保険を例に説明します。

保険の対象となる人

保険の補償を受けられる被保険者は、日本企業や官公庁などに属し、海外へ長期滞在する人と同行する家族になります。
海外赴任や旅行の保険は、日本に帰国するまでを前提とした補償するものなので、現地の企業に属している場合は対象になりません。

補償内容

海外旅行保険には、以下のような補償内容があります。

補償項目 補償内容
治療・
救援費用
病気やケガの治療、家族が現地にかけつけた場合の補償
傷害死亡・
後遺障害
ケガが原因で亡くなったり、障害が残ってしまった場合の補償
疾病死亡 病気が原因で亡くなった場合の補償
賠償責任(家族総合賠償責任) 他人にケガをさせたり、ものを壊してしまった場合の補償
携行品損害 身の回りの持ち物が盗まれたり、壊れた場合の補償
航空機遅延費用 航空機遅延による予定外の宿泊代、食事代などの補償
航空機寄託手荷物遅延等費用 航空会社に預けた手荷物の遅延などによる生活必需品の補償
生活用動産 居住内の家財や身の回りの持ち物などが損害を受けたときの補償

海外での医療費は高額になる場合もあるため、治療費の補償は重要になります。治療費と救援費用はセットになっていることが多く、500万円から無制限まで選ぶことが可能です。

また、新型コロナウイルス感染症は、多くの保険会社で疾病に該当するとして補償対象に加えられています。

一般の海外旅行保険との違い

海外に長期滞在する場合、旅行とは違い生活をするうえで必要な補償があります。
居住内の家財や身の回りの持ち物などが損害を受けたときの「生活用動産」や、他人にケガをさせたり、ものを壊したりしたときの「賠償責任」に借家人賠償責任、自家用車の自動車超過損害賠償責任、家財の損害などの担保範囲を拡大した「家族総合賠償責任」などが必要となるでしょう。
また、被保険者の親族が危篤や亡くなった場合の一時帰国の際にかかる交通費などの補償もあると安心です。
これらの補償は、海外旅行保険に特約として追加することができます。

加入に際しての注意点

保険の種類によりますが、持病や既往症がある人は基本的に保険の加入ができないことが多いでしょう。保険会社が指定するケガや病気の種類によっては加入できるものもあります。
たとえば、歯科疾病(虫歯の治療など)で治療中であっても保険の加入はできますが、現地で治療を受けた場合、補償の対象にはなりません。
また、妊娠中に保険の加入はできますが、妊娠、出産、早産または流産により生じた費用や病気などは補償されないので、注意しましょう。

海外旅行保険の現状

海外旅行保険は、加入しやすい利便性や充実したサポートなどで利用する人が増加しています。

海外での保険金支払いの現状

海外旅行保険で支払われる保険料は、海外における医療費の水準や為替の変動などの影響を受けます。
近年、世界的な人口増加や高齢化などにより、医療費は拡大傾向であり水準も上昇しています。また、為替が変動し円安が続くと、円の価値が下がるため保険会社の支払い額も上昇してしまいます。そのため、保険会社が支払う総保険料も年々増加傾向になっています。

保険料の相場は上昇している

損害保険会社が保険料を決めるうえで参考にするものの一つに、損害保険料率算出機構が算出する参考純率というものがあります。
保険料率は、事故などの際に保険会社が支払う「純保険料率」と保険会社の経費などの「付加保険料率」からなっていて、損害保険料率算出機構は「純保険料率」の算出を行い、参考純率として会員会社へ提供をしています。

2016年3月に海外旅行傷害保険の参考純率が改定され、平均20.1%引き上げられました。参考純率が上昇したら必ず保険料が上がるというわけではありませんが、保険会社の保険金支払い額が上昇しているのであれば保険料の見直しや引き上げにつながるでしょう。

海外赴任者向け保険を選ぶポイント

海外赴任の保険を選ぶとき、個人で加入する方法と会社で加入する方法の2種類あります。数ある海外赴任の保険を選ぶためのポイントを紹介します。

個人で加入する場合

個人で海外赴任の保険に加入する場合は、現地での医療事情をしっかりと確認して、不足している補償を考慮する必要があります。保険を選ぶ際は、以下のような点に注目しましょう。

  • 提携病院の有無・サポートの充実

    トラブルが起こったとき、早急に治療を受けることができるように提携病院への予約やキャッシュレスサービスなどのサポートが充実していると安心です。

  • 補償内容・フリープランの有無

    赴任する国によって必要な補償は異なります。基本的な補償のほかに、補償額の調整や特約が自由に付与できる保険が望ましいです。

  • 保険料

    保険期間を考慮しましょう。
    お得に加入するならば、コストを削減できて手続きが簡単なインターネット契約が、保険料の割引率が高いのでおすすめです。ただし、インターネットで入れる海外赴任の保険には契約可能な期間に上限が設けられていることが多いので注意してください。

会社負担で加入する場合

会社で加入する場合は、企業の担当者が保険加入を行います。担当者が保険を選ぶ際は以下のような点に注目しましょう。

  • 管理のしやすさ
  • 補償内容
  • 保険料

海外赴任が多い企業では、個人契約より一括で契約する包括契約をおすすめします。
損保ジャパンでは、短期出張者の保険料が割安な企業包括契約プラン「【off!】企業パッケージ」もあるので検討してみてください。

【off!】企業パッケージは、92日以内の短期出張を「新・海外旅行保険【off!(オフ)】」、3か月以上の長期出張や駐在などは「海外旅行総合保険」を適用するセットプランです。二つをセットにすることで、保険コストの削減に貢献します。
渡航者カードの即時発行や渡航者管理、危機管理、通知書作成不要など海外旅行保険に関わる事務負荷も軽減して、万全のサポートと安心を提供します。

まとめ

海外で利用できる保険には、現地の医療保険や日本の医療保険、生命保険、海外旅行保険などがあります。高額なことが多い海外の医療費は、国内での医療費を基準に考えられている海外療養費制度や国内対象の生命保険だけでは不足することがあります。海外の医療に対応している保険で補償を補いましょう。
海外への出張や駐在などで長期滞在をする場合、生活するうえの補償も必要です。保険の対象者や補償内容、加入に対しての注意点を加味して保険を選びましょう。
海外旅行保険は、加入しやすい利便性や充実したサポートなどで利用する人や支払い総額が増加傾向です。保険料の相場も上昇しています。
海外赴任の保険には、個人で加入する個人契約と会社で一括加入する包括契約があります。滞在する国の医療事情や補償内容、サポート体制、管理の負荷などを参考によりよい保険を選択してください。

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