持病(既往症)がある場合の海外旅行保険の入り方とは

Point
  • 持病や既往症があるとインターネットを通して海外旅行保険の契約をすることが難しい
  • ただし、風邪やぜんそくなど、加入ができる場合もある
  • 持病や既往症がある場合、保険会社への告知義務が発生する
  • インターネットでは申し込めなくても店頭では加入できる場合もあるので代理店に確認するのがよい
  • 「応急治療・救援費用補償特約」が付いていると安心
  • 損保会社の海外旅行保険を利用できない医療費に対しては、健康保険の「海外療養費制度」を利用するとよい
  • 持病や既往症がある人は旅行前に主治医に相談をしたい
  • クレジットカードに付帯している海外旅行保険は持病の治療や疾病死亡などには対応していないことが多いので、海外旅行保険でカバーする
  • 海外旅行保険は病気やケガの治療以外にも、携行品損害、救援者費用なども補償の対象になる

海外旅行で病気やケガをしたときに強い味方となるのが海外旅行保険ですが、持病や既往症があると契約ができないことがあります。しかし、持病や既往症以外のことでも病気やケガ、さらには盗難などの不安もあり、できれば加入しておきたいところです。

実際に、どのような条件の場合には加入ができないのでしょうか。また、「持病や既往症の治療が対象外」「加入そのものができない」場合にはどのような対処をするとよいのでしょうか。

今回は、持病や既往症がある場合の海外旅行保険の加入について紹介します。

持病(既往症)があると海外旅行保険には入れないの?

必ずしもすべての持病や既往症が、保険に入れない条件となるわけではありません。除外となる持病・既往症について紹介します。

海外旅行保険での持病や既往症の定義

海外旅行保険は旅行中の危険な運動の有無など、契約条件がとても細かく定められているため、申し込む前にしっかりと説明を読み内容を確認する必要があります。そして、そんな契約条件の一つに持病や既往症があります。

  • 持病とは

    旅行前から慢性的・断続的に長期にわたり患っている病気のことです。

  • 既往症とは

    これまでにかかったことのある病気のことです。現在は治癒している状態です。

持病・既往症の種類によっては、加入することができない海外旅行保険の商品もあります。持病・既往症がある場合は、保険会社に正確に告知をしなくてはいけません。

告知義務を怠ると、契約を解除され、保険金が支払われないケースがあるので注意が必要です。
告知義務は、持病や既往症以外にも、危険な仕事への従事や現地での危険な運動などさまざまに該当する項目があります。

インターネット申込みの海外旅行保険は加入が難しい場合も

インターネットで加入する海外旅行保険の多くは、持病や既往症があると加入ができません。「ケガや病気で医師の治療を受けていたり、薬を服用していたりする場合」は基本的に加入できないと思っておいたほうがよいでしょう。

ただし、保険会社が指定するケガや病気の種類によっては加入できるものもあるので、自身の持病を照らし合わせて複数の商品を比較検討するとよいでしょう。

最寄りの代理店で相談してみよう

特定のケースをのぞく持病や既往症がある場合は、インターネットから申し込む新・海外旅行保険【off!(オフ)】には加入できません。

そのようなときには、代理店経由での「海外旅行総合保険」がおすすめです。持病・既往症が理由でインターネットでの加入ができない場合でも、最寄りの代理店に相談することで、海外旅行保険に加入できる可能性があります。

ただし、加入にあたって条件がある場合もあるので、ご注意ください。場合によってはご希望の保険金額では付帯できないこともあります。

旅行中に持病の悪化が懸念されるときはどうすればいい?

万が一、旅行先で持病により体調不良に見舞われたらどうしようと心配ばかりしていると、旅行を十分に楽しむことができません。そんなときに安心できる海外旅行保険の入り方について解説します。

海外旅行保険の「疾病に関する応急治療・救援費用補償特約」をセットする

持病や既往症がある人も安心できるのが「疾病に関する応急治療・救援費用補償特約」です。
旅行期間中に既往症の急激な悪化(*)により、医師の治療を開始した日からその日を含めて30日以内、滞在先で必要となった費用に対し以下をお支払いします。

  • 帰着後にかかった費用は支払いの対象になりません。詳細は代理店へお問い合わせください。
  • 治療費用部分

    旅行前から発病して治療を受けていた病気が「急激に悪化(*)」して現地での治療が必要になった場合の費用を補償します。妊娠、出産、早産、流産または、それらが原因となった病気、不妊症、歯科治療に関することなどは対象となりません。

  • 救援費用部分

    海外で入院などして現地にきてもらった救援者についても、旅行前から発病して治療を受けていた病気が「急激に悪化(*)」して3日以上続けて入院された場合の費用を補償します。

(*)
急激な悪化とは、海外旅行中に生じることについてあらかじめ予測できず、かつ、社会通念上支払うべき注意をもってしても避けられない症状の変化をいいます。日本の医療機関へ医療照会をさせたいただいた上での判断をなりますので、キャッシュレスのお支払いはできません。

「疾病に関する応急治療・救援者費用補償特約」はインターネットでは加入ができません。
空港で加入できる【Airport off!(エアポートオフ)】もしくは代理店で加入できる「海外旅行総合保険」のみの対応となります。
お問い合わせは、空港カウンターもしくは、代理店へお願いします。

健康保険の「海外療養費制度」を活用する

海外で治療を受けて、それが日本にいる間から継続的に行っているものであると判断されると、応急治療も適用されません。インシュリン投与や人工透析なども適用外です。

しかし、それでは自己負担が大きすぎます。そこで、国民健康保険や社会保険のような公的医療保険の「海外療養費制度」を利用すれば帰国後に給付を受けられます。給付の対象となるのは日本国内で保険適用となっている医療行為に対してです。

支給金額は、<日本国内での医療費を基準として算出した額又は実際に海外で支払った額の低いほう>から<自己負担相当額(患者負担分)>を差し引いた金額です。

例えば海外でかかった医療費が30万円、日本で同様の治療を受けた場合には25万円だとします。
その場合には医療費は安いほうの25万円で計算されます。
自己負担が3割の場合には
医療費(25万円)―自己負担額(25万円×0.3)=支給額(17.5万円)となります。

  • 医療費が外貨で支払われている場合には、支給決定日のレートで円に換算して計算されます。

申請に必要なものは

  • 申請書
  • 受診者の保険証
  • 印鑑
  • 世帯主の振込先口座が分かるもの
  • 診療内容明細書
  • 領収明細書
  • 領収書などの原本
  • 外国語の書類の場合には日本語の翻訳文
  • 渡航が確認できる書類(旅券や航空券など)の写し
  • 調査にかかわる同意書

などがありますが、実際に申請する際には市町村のホームページなどで確認をしてください。

上記の中で診療内容明細書は現地の医師に記入してもらいます。医者にかかる懸念がある人は出発前に診療内容明細書などを印刷して、現地へと携行することをおすすめします。また、審査に使う重要な書類のため、現地の医師にはできるだけ詳しく記入を行ってもらってください。

現地で受診する際には、日本から持参した診療内容明細書、領収明細書、健康保険国際疾病分類表を受付で渡してから治療を受けるようにしましょう。

かかりつけ医に相談して旅行の準備をしよう

ここからは、持病がある人が海外旅行に行く際の準備のポイントを説明します。

  • かかりつけ医にあらかじめ旅行の相談をする。
  • 必要な薬をあらかじめ日数分処方してもらい、携行する。
  • 海外旅行保険のもしものときの連絡先をメモしておく。
  • 現地の医療事情について調べておく(日本語が通じる病院があればメモをとっておく)。
  • 現地の気候や食べ物など、あらかじめ確認しておく。
  • 感染症の懸念が考えられる場合は予防接種などの予防対策をしておく。
  • 会話が困難な状態になることを想定して、持病について書かれたカードなどを持参する。
  • 糖尿病の場合には日本糖尿病協会の企画による英文カード(Diabetic Data Book)を携帯。
  • インスリン治療中の場合には英文のインスリン携帯証明書を持参。
  • 持病があったり、体調が不安だったりしたときには、あらかじめ航空会社に伝えておく。
  • 飛行機への医療機器の持込みなどがあるときにはフライトの予約時に航空会社に伝えておく。

など、いざというときにも安心の準備をしておくようにします。何より、かかりつけ医のアドバイスを聞いて、無理のない行動をとることが大切です。

クレジットカード付帯の海外旅行保険で持病の医療費は補償される?

海外旅行保険に新たに加入せずとも、クレジットカード付帯の海外旅行保険があるからと安心している人も多いかもしれません。しかし、多くのクレジットカードでは海外旅行保険の場合、持病や既往症については補償されません。

また、持病や既往症の医療費用以外で利用したい場合でもあらかじめ確認しておきたいのが、お手持ちのクレジットカードの海外旅行保険では適用条件が「利用付帯」か「自動付帯」どちらであるか、ということです。

利用付帯とはそのカードを使って旅行費用を支払った場合に適用されるというものです。一方、自動付帯は利用の有無にかかわらず保険が適用されます。

利用付帯ということを確認せず、旅行費用を別の支払方法で済ませてしまった場合には、現地で病気やケガをしても保険料は払われないので注意してください。また、カードはステータスによって補償内容(保険金の上限や、適用範囲など)が変わるので、その点も確認しておくことが必要です。

さらに、クレジットカードの海外旅行保険では、直接現地の医療機関に医療費を支払ってくれるサービスや、病院を紹介してくれるサービス、通訳サービスなどがない場合もあります。そこで、やはり別途、海外旅行保険に入っておくと安心ということになります。

まとめ

持病や既往症がある場合に海外旅行保険に加入できるかどうかは、保険会社によって異なります。
損保ジャパンの新・海外旅行保険【off!】では、持病や既往症がある場合はご契約ができないため、最寄りの代理店に相談をしてみてください。
持病が突然悪化したらどうしようと心配な場合には「応急治療・救援費用補償特約」を付けておくと安心です。本来は補償が受けられないはずの持病であっても、緊急の場合には治療の補償が受けられ、救援者も安心して呼び寄せることができます。また、常に治療の可能性がある人は公的医療保険の「海外療養費制度」を利用するための準備をしてから海外に行くとよいでしょう。
旅行では思わぬトラブルが起きやすく、それらを幅広くカバーし、サポートするのが海外旅行保険です。例えばクレジットカードに海外旅行保険が付いているという人も、足りない部分を海外旅行保険のオーダーメイドプランでフォローするのがおすすめです。

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