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2026年度の経済と貨物輸送の見通し

本稿はNX総合研究所「2025・2026年度の経済と貨物輸送の見通し」(26年1月発表)に基づいており、本稿における統計なども、当該レポートで使用したものに準拠している。なお、本稿における年度は、NXグループにおける会計年度の「1月~12月」を指しており、一般的な会計年度(4月~3月)とは異なることに留意されたい。
今回の見通しに関する諸前提について
国際通貨基金(IMF)は25年10月14日、「変動期の世界経済、見通し依然暗く」という副題の世界経済見通しを発表した。当見通しでは、26年の世界経済成長率を3.1%増と予測しており、前回(7月)見通し(3.1%増)から横ばいとなったが、25年見通し(3.2%増)よりは減速が見込まれている。
主要国における26年の実質経済成長率の改定状況(7月予測➡10月予測)について見ると、日本:0.5%増➡0.6%増、米国:2.0%増➡2.1%増、ユーロ圏:1.2%増➡1.1%増、英国:1.4%増➡1.3%増、中国:4.2%増➡4.2%増、インド(注:財政年度ベース):6.4%増➡6.2%増、ロシア:1.0%増➡1.0%増、新興市場国・中所得国:3.9%増➡3.9%増、低所得発展途上国:5.0%増➡5.0%増――などとなっており、改定幅は総じて小幅にとどまっている。
今般の改定に関してIMFは、「世界経済は、新しい政策措置によって再形成された環境に適応している。極端な高関税の一部は、その後の協定と修正によって緩和された。しかし全体的な情勢は依然として不安定である。また、貿易の前倒しなどの、25年上半期に経済活動を支えた一時的な要因が薄れている」「リスクは下振れしている。不確実性の長期化や保護主義の拡大、労働供給のショックは成長を阻害しかねない。財政の脆弱性、金融市場の調整が起こる可能性、そして制度の弱体化は安定性を脅かす恐れがある」としている。
本予測では、世界経済については、前述のIMF世界経済見通しに準拠する一方、さらなる下振れリスクを加味している。また、日本経済については、以下のような前提の下で今般の予測作業を行った。
- 日本経済は足元において、さまざまなモノやサービスの価格高騰に伴い、低所得階層を中心に生活困窮者が増加しており、政府には景気拡大に向けた経済政策の実施が求められる。
- 大企業などでは順調に賃上げが進む一方、中小企業の従業員や非正規雇用労働者の多くは、賃上げの恩恵を享受できずにいると考えられる。その結果、足元において実質可処分所得は伸び悩みの状態が続いており、それが個人消費の伸びを大きく下押しすることとなる。
- 米国トランプ政権による関税政策の影響については、足元において、当初懸念されていたほど大きくは現出していない。また、日米関税協議が妥結されたことに伴い、先行き不透明感が下げ止まったとの見方もある。しかしながら、26年度上期までは輸出の減少や鉱工業生産の足踏みなどの影響が残ると見られる。
- 内閣府の試算によると、25年7~9月期のGDPギャップ(2次速報値)はマイナス0.2%(年率換算で約1兆円の需要不足)と、小幅ながら3半期ぶりにマイナスへ転じた。25年度は、2年ぶりにデフレギャップが解消する可能性が高いものの、デフレからの完全脱却に向け、引き続き適切な経済政策の実施が求められる。
- 25年12月の臨時国会において、物価高対策などを中心に、一般会計の歳出で総額18.3兆円規模の補正予算が成立した。高市内閣は「揮発油税・軽油引取税の暫定税率の廃止」「178万円までの年収の壁引き上げ」など各種対策の実施を決定し、「強い経済」の実現に向けて一歩前進した形となっているが、現状では景気の押し上げ効果は限定的である。ただし、これまでの緊縮財政から積極財政への転換を受け、来年度下期以降、消費マインドや投資マインドが上向くと期待される。
日本経済の見通し
26年度の日本経済は、上期については、輸出の低調に加え在庫投資の減少もあり小幅な成長にとどまる。一方、下期は高市内閣による「責任ある積極財政」が奏功することを前提に、景気は上向く見通しだ。実質経済成長率は、通年では0.9%増と前年度より若干の減速が見込まれる。
物価上昇率が減速することに加え、引き続き賃金の上昇が期待できるほか、政府による物価高対策の効果を受け、実質可処分所得は増加に反転しよう。消費マインドの好転などを受け、4~6月期以降個人消費は加速するものの、通年では1.1%増にとどまる。
設備投資は1.6%増と小幅ながら前年度より加速しそうだ。省力化投資やデジタル投資など多分野に対する潜在需要の顕在化が期待される。その一方で、資材価格や人件費など各種コストの高止まりや日銀による政策金利引き上げが下押し要因となる懸念もある。
輸出は、上期については、前年同期におけるトランプ関税政策を受けた前倒しによる輸出増の反動もあり、水面下の推移が避けられない。下期に持ち直すものの、通年では0.1%減と弱含む見通しだ。これに対して、輸入は1.1%増と前年度より減速し、この結果、外需の寄与度は0.2ポイントのマイナスとなろう。
国内貨物輸送の見通し
26年度の国内貨物総輸送量については、堅調な消費関連貨物が牽引し、上期は0.2%の増加が見込まれる。下期は生産関連貨物がプラスに転じるものの、建設関連貨物が停滞する中、トータルでは0.4%減を予測した。その結果、通年では0.1%減と、5年連続の減少となる見通しながら、前年度より大幅に改善しよう。
品類別に見ると、消費関連貨物については、可処分所得の増加や消費マインドの好転などを受け、個人消費に持ち直しの動きが期待できる中、トータルでは1.7%増と堅調な伸びを予測した。猛暑に伴う飲料品・日用品などの旺盛な需要の継続も増加要因となろう。
生産関連貨物については、省力化投資やデジタル投資に対する旺盛な需要を受け、一般機械には比較的堅調な推移が予測される。また石油製品に増加が見込まれる一方、鉄鋼や化学工業品はやや低調な動きが避けられないことから、トータルでは0.3%増と小幅な伸びにとどまろう。
建設関連貨物は、大規模公共土木工事の執行が期待できない中、1.5%減と引き続き低迷し、総輸送量を下押ししよう。新設住宅着工戸数についても、法改正に伴う駆け込み需要からの反動減が和らぐものの、政策金利引き上げなどが冷や水となろう。
なお、総輸送量からやや特殊な建設関連貨物を除いた一般貨物の輸送量については、上期0.3%増、下期1.5%増と盛り返しが見込まれ、通年では0.9%増となろう。
足元の『荷動き指数』については、巻末「KEYWORD」を参照願いたい。
輸送機関別の見通し(26年度)
鉄道(JR貨物):コンテナは2.3%増と堅調に推移し、3年連続の増加となろう。上期は、リニア中央新幹線建設工事に伴う発生土(エコ関連物資)輸送が引き続きプラスに大きく寄与する。ただし、当該輸送が7~9月期で終了すると想定されるため、下期は減速が避けられない。車扱については、大きなウェートを占める石油製品に堅調な荷動きが予測されるため、前年度のマイナスから、1.5%増とプラスに転じよう。
自動車:営業用自動車については、消費関連貨物が牽引役となるほか、生産関連貨物も底堅く推移すると予測される。また、建設関連貨物のマイナス幅も前年度より大きく縮小改善することから、通年では0.7%増と、5年ぶりにプラスへ反転しよう。
自家用自動車については、大宗を占める建設関連貨物が減少するほか、生産関連貨物も振るわず、トータルでは1.9%減と引き続き低調に推移しそうである。
内航海運:鉄鋼や化学工業品が水面下で推移する一方、石油製品の増加を受け、生産関連貨物はプラスに転じる。建設関連貨物もマイナス幅が縮小することから、トータルでは0.6%増と5年ぶりの増加が期待できる。
国内航空:このところ輸送量を大きく持ち上げてきた、大手宅配便事業者による貨物専用便の運航に伴う押し上げ効果が剥落する中、1.2%減と5年ぶりのマイナスに沈みそうだ。
国内貨物輸送量の見通し
- (注1)原系列。
- (注2)2025年度上期まで実績値。
- (注3)実績値は国土交通省の各種統計・資料による。
- (注4)端数の関係で合計が合わない場合がある。
- (注5)建設関連貨物を除く輸送量は、自動車と内航海運の輸送量から建設関連貨物を除いた数値。
国際貨物輸送の見通し
外貿コンテナ貨物(主要8港):世界経済の低成長・緩やかな減速が続く中、26年度の外貿コンテナの輸出は1.8%減と、3年連続のマイナスとなろう。上期はトランプ関税の影響が拡大するほか、前年度における米国関税発動前の前倒し輸送の反動減も予測される。下期にはトランプ関税の影響が徐々に緩和・一巡するものの、自動車関連や機械類の荷動きの年内回復は期待薄だ。円高基調への転換・円高進行による逆風・下押しも徐々に強まると見られる。中国の過剰生産・デフレ輸出継続による米国・EU対中国の貿易対立の再燃・激化や、米国の工作機械関税導入、日中関係悪化に伴う日中貿易対立・停滞による下押しも懸念される。
26年度の輸入は3.3%増と3年連続のプラスとなり、前年度以上の水準の伸びが見込まれる。消費財については、物価上昇や円安による下押しが一巡し、緩やかな円高の追い風を受け、個人消費の回復基調が続く中で、前年度から増勢が継続・拡大しそうだ。また生産財については、生産拠点の国内回帰や調達先分散、安全在庫の確保が進み、生産用部品・部材類や機械類は増勢を維持しよう。中国の過剰生産・輸出に伴う低価格品の流入増も継続しそうだ。また、国内生産拠点の整備・稼働の本格化を受け、建設用資材・生産用部材類の調達増による押上げも期待できる。
外貿コンテナ貨物輸送量の見通し
- (注1)主要8港(東京港、横浜港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、博多港)における外貿コンテナ貨物量の合計。
- (注2)2025年度上期まで各港港湾管理者資料による実績値。
- (注3)端数の関係で合計が合わない場合がある。
国際航空(主要4空港):26年度の国際航空の輸出は1.8%増と3年連続のプラスが予測されるものの、貨物量はコロナ前(19年度)の水準を回復できない見通しである。アジア線は堅調を維持する一方、太平洋線は前年度における米国関税発動前の前倒し輸送の反動減、欧州線はEV市場の減速長期化・競争激化が下押し要因となろう。
半導体関連(電子部品・製造装置)は、AI関連需要が継続・拡大する中、増加基調を維持しよう。下期は供給過剰・市況悪化や、中国向け製造装置需要の急減による鈍化・失速可能性も想定される。自動車部品は、海外EV市場の減速長期化や日系製造業のEVシフト対応遅れで、低調な荷動きが継続しそうだ。HV・PHV市場の確保や欧州・アジア(中国以外)向けによる代替・リカバーは限定的である。
26年度の輸入は5.1%増と3年連続の増加となり、前年度に近い水準のプラスを維持しそうだ。消費財については、個人消費の回復基調が持続する中で増勢を維持し、EC・通販関連も堅調な荷動きが継続しよう。物価上昇圧力の緩和・一巡、緩やかな円高進行も寄与しそうだ。生産財については、生産拠点の国内回帰や調達先の分散・多元化、国内生産拠点の整備・稼働が進み、生産用機器や部品・部材類は、引き続き活発な荷動きが見込まれる。食料品の緊急輸入や、米国からの高価格品の輸入・調達増が押上げ要因となる可能性もある。
国際航空貨物輸送量の見通し
- (注1)主要4空港(成田、羽田、関空、中部)における輸出入貨物量の合計。
- (注2)2024度上期まで、税関資料(月別速報)を積み上げた実績値。
- (注3)輸出の路線別貨物量は、JAFA輸出混載統計による路線別構成比を乗じた推計値。
- (注4)端数の関係などで合計が合わない場合がある。
KEYWORD 企業物流短期動向調査にみる足元の景気動向
NX総合研究所は、年に4回、荷主企業(製造業、卸売業)2,500事業所に対してアンケート調査(企業物流短期動向調査)を実施(注:回答率は26~27%前後)し、前年同期と比較した荷動きの動向等について把握している。企業物流における在庫圧縮の動きの中で、出荷量の動向が景気変動に密接に結びついてきているものと考えられることから、本調査結果は、物流面からみた景気動向の指標として捉えられている。
景気動向と密接な関係があるとされる国内向け出荷量『荷動き指数』の推移を見ると、25年10~12月実績(速報値)はマイナス4と、15期連続のマイナスながら、前期(7~9月)実績(マイナス14)より10ポイントの大幅な上昇となった。
また、前回調査時における見通し値(マイナス6)から2ポイント上振れたが、実績値が見通し値を上回るのは、21年10~12月以来4年ぶりのことである。このように、前期まで継続して見通し値を下回っていた実績値が、一転して見通し値を上回る現象は、経験則では景気が好転する可能性がある時に見られるサインの一つだ。今回の調査結果のみで今後景気が好転すると判断するのは早計であるが、その可能性は高いと見られる。その理由は、高市内閣による経済政策の方針転換である。
なお、26年1~3月見通しについては、当期から2ポイント低下してマイナス6と見込まれているが、次回調査における実績値がそれを上回ることは十分に考えられる。次回調査結果は要注目である。
- (注1)2026年2月時点の情報をもとに作成しております。
- (注2)トップ画像は生成AIを用いて作成しております。
コンテンツ提供:NX総合研究所
NX総合研究所は、60年以上の実績を持つ物流に特化した「ロジスティクスのプロ」です。「ひと」「モノ」「環境」という幅広い視点から、国内だけでなくグローバルで、物流コストの削減、作業の効率化、品質向上という身近なテーマに加え、サプライチェーンの全体最適化や物流会社の経営支援までお手伝いしています。





























