【アメリカ合衆国の医療費】都市別の医療費と事例

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2021年4月時点
  • アメリカの医療費が高いのは、「救急車が有料」「自由診療の採用」など、日本とは異なる制度、事情によるものである
  • ニューヨーク・マンハッタン地区の医療費は群を抜いて高く、虫垂炎で入院・手術ならば1日の入院で106万円以上かかる
  • 損害保険ジャパンの海外旅行保険加入者の事例では、ハワイ滞在中に急性心筋梗塞を発症し、13日間の入院で治療費用が約1,942万円になったケースもある
  • アメリカで医療機関にかかると負担が大きくなるため、海外旅行保険への加入を外務省でも推奨。海外旅行保険は医療費だけでなく、盗難や買ったものの破損、他人にケガをさせてしまった場合のリスクにも備えられる

「海外旅行や短期留学などの際に、病気やケガをしたら医療費はどれくらいかかるのだろうか?」
「海外旅行保険に加入するとしたら、いくらぐらいの補償を選ぶべき?」など、悩む人も多いのではないでしょうか。
アメリカ、イギリス、フランスなど世界各国、国によって医療制度やかかる医療費は異なります。

今回は、アメリカと日本の医療制度の違いや、アメリカ合衆国内で治療を受ける際、医療費がどのくらいかかるのかを都市別に見ていきます。また、アメリカに渡航予定がある人が、旅行前に準備できることはあるのでしょうか。その点についても解説していきます。

高いといわれるアメリカ合衆国の医療費事情

アメリカで救急車を呼んだり、手術をしたりすると、実際どれくらいの医療費がかかるのか、高いといわれるアメリカの医療費について掘り下げて見ていきましょう。

例えば、アメリカには、「自由診療制度を採用している」「医療費が州や地域ごとに違う」「救急車が有料」など、以下のように日本とは異なるさまざまな特徴があります。

  • 救急車が有料

    救急車は、電話で呼ぶことができますが、全て有料でタクシーのように走行距離によって金額が変わります。また、行き先の指定もできません。行き先を指定したい場合は、「自力で行く」「民間や医療機関の救急車を呼ぶ」といった対応が必要です。

  • 予約なしで受診できる医療機関が限られている

    アメリカでは、急病時はER(救急救命室)などで診てもらえますが、それ以外の場合は予約なしで受診できる医療機関が限られています。クリニックや医療機関は完全予約制です。そのため、健康診断や風邪などの場合はファミリードクターを受診し、専門的な治療が必要なときはファミリードクターを通じて専門医を紹介してもらうのが一般的です。また、医師の専門分野が細分化されているため、病気によっては複数の医師の治療が必要となり、その分、医療費も高額になる場合があります。

  • 医療技術が高いが、自由診療のため病院が医療費を決める

    アメリカは、医療技術が非常に高い国のため、お金を出せば先端技術の医療を受けることができます。各医療機関で技術競争があるため、医療費も比例して高くなるのです。

  • 医療費が払えずに自己破産に陥る

    医療費が高額なため、請求された金額を支払えない人も多い傾向です。アメリカでは自己破産の理由の一つとして「医療費が支払えない」ことをあげる人も少なくありません。

  • 国家・州の財政を圧迫している

    医療費が支払えないために病院に行けず、病気を悪化させる人が増えたことを受けて、オバマ政権時代に低所得者のための医療制度「メディケイド」の加入資格基準が拡大しました。この制度には、信託基金はなく、連邦政府の支出には上限が設けられていません。そのため、連邦政府や州の支出が膨れ上がっていることも問題視されています。

  • 民間の医療保険の掛金自体が高い

    アメリカの民間医療保険は、保険商品の種類ごとにカバーされる病気の種類や負担額などが異なります。例えば、歯科診療をカバーしていない保険もあります。受診できる病院ネットワークも保険によって決まります。掛け金自体も高く、自分の納得のいく医療を受けたい場合は、より割高な民間保険に入ることが必要です。つまり、「お金があって高い保険に加入できる人でないと、いい医療を受けられない」という問題点もあるのです。

アメリカ合衆国(都市別)の医療費と事例

アメリカの医療費が高いというのは分かりましたが、具体的にどの程度の費用がかかるのでしょうか。都市ごとに見ていきましょう。また、実際にアメリカ旅行中に病気やケガの治療を受けた人は、どれくらいの費用がかかっているのか、損害保険ジャパンの海外旅行保険に加入した人の事例から、一部をご紹介します。

ニューヨークの医療費

高額なことで有名なアメリカの医療費の中でも、ニューヨーク・マンハッタン地区の医療費は群を抜いています。在ニューヨーク日本国総領事館のホームページによると、他の区の2~3倍にも上るそうです。

〈ニューヨークの医療費〉

種類 料金
一般の初診料 約150~300米ドル
専門医の初診料 約200~500米ドル
入院室料 約2,000~3,000米ドル/日
虫垂炎入院・手術(1日入院) 約1万米ドル以上
歯科治療 約1,000米ドル/本
(注)
在ニューヨーク日本国総領事館ホームページ参照

初診時だけで、日本円にして約1万6,000円〜3万2,000円程度必要です(1米ドル=106円で換算/2020年5月14日現在)。
虫垂炎で入院・手術ならば1日の入院で106万円以上もかかるのです。
もちろん、アメリカに住んでいて民間の医療保険に加入していれば、自己負担金は減りますが、旅行者など現地の保険に加入していない場合は全額支払わなければなりません。

救急車で搬送してもらう際にも、以下のように料金がかかります。

〈ニューヨーク消防局による搬送〉

種類 料金
患者搬送(救命士なし) 84,000円
救急搬送(救命士乗車) 143,000円〜155,000円
病院までの搬送料金 約1,000円/km
酸素投与 約7,000円
(注)
消防庁資料「平成27年度(2015年)救急業務のあり方に関する検討会」参照。料金は1米ドル=120円で計算したもの

また、ニューヨーク周辺では以下の病気に特に注意が必要です。

  • ライム病

    ダニが媒介する病気です。ニューヨーク州だけで発生数の約3分の1を占めています。春から夏に多く、重症化することがあります。

  • ウエストナイル脳炎その他蚊媒介感染症

    蚊に刺されることで感染する病気です。高齢者は重症化しやすいため注意が必要です。

  • 狂犬病

    アメリカで狂犬病感染の報告が最も多い州がニューヨークです。かまれた場合はすぐに病院へ行き、狂犬病のワクチンを打ってもらうことをおすすめします。

フロリダの医療費

温暖な気候や、有名なテーマパークがあることで人気のフロリダは亜熱帯地域に属しています。そのため、熱中症・脱水症などに気を付ける必要があります。気温も高いため、食中毒にも注意が必要です。また、マリンスポーツ体験などの事故、サメ・ワニなどの咬傷事故にも気を付けましょう。加えて、蚊が媒介する感染症も多いため、虫刺され対策についても考えておく必要があります。

また、フロリダ州マイアミ周辺は最新医療を提供する病院が多いことでも知られる地域です。受診目的の外国人も多く訪れるため、医療費も他の地域に比べて高額になる傾向にあります。医療費が支払えることの証明のため、クレジットカードや海外旅行保険証を持参しましょう。医療機関は、混雑していることも多く、生命に危険がない場合は診療を後回しにされることもあるため、注意が必要です。

救急車の料金は、処置の内容や搬送距離により大きく異なります。一般社団法人日本海外ツアーオペレーター協会のサイトによると、公共のサービスで350~2,000米ドル(2017年度実績)がかかります。日本円に換算すると、約3万7,000円〜21万円になります(1米ドル=106円で換算/2020年5月14日現在)。民間の救急車は、さらに高額請求される可能性もあるので利用時は気を付けましょう。

ハワイ・グアムの医療費

日本からも多くの人が訪れるハワイ・グアムについても見ていきましょう。マイアミ同様にリゾートを楽しむ人が多く、水の事故や虫刺されに気を付けましょう。

ハワイの医療事情は、施設、技術ともに水準が高く問題ありませんが、アメリカ本土と同様、救急車も有料で治療費、入院費は高額です。
グアムは、アメリカ本土と比較すると医療サービスの水準が低い傾向にあります。海外旅行などの際に、脳内疾患や心臓疾患など重度の疾患にかかった場合は、日本に緊急移送するケースもあり、移送費も含め、海外旅行保険での十分な備えが必要です。

アメリカでの保険金支払事例

ここまで、アメリカの都市別に医療費を見てきましたが、旅行中に病気やケガの治療を受けた人は、実際どれくらいの費用を支払ったのでしょうか。
損害保険ジャパンの海外旅行保険に加入していた人の事例から、一部をご紹介します。

事例1)
20代の男性が、カリフォルニア州で乗車中に、大型トレーラーにぶつかり頭部を強打。23日間の入院後、医師と看護師の付添いで日本に帰国しました。アメリカでの治療費用は、総額2,178万円以上。加入していた海外旅行保険により、現地治療費用、日本への搬送費用として、748万円の保険金をお支払しました。

事例2)
60代の女性がハワイ滞在中に咳と吐き気で医療機関を受診したところ、急性心筋梗塞と診断され13日間の入院となりました。治療費用は約1,942万円に上りました。こちらの場合、保険で賄われた費用は治療費用、移送費用として1,311万円でした。

事例3)
30代の男性がアメリカで腰痛を発症し、治療を受けたがよくならず、痛みと発熱が続いたため再度、総合病院を受診。盲腸破裂が分かり、緊急手術の後、3日間入院しました。このケースでは、病院の紹介や予約サービス、キャッシュレス治療サービスを行い、治療費として241万円の保険金をお支払しました。

事例4)
アメリカで友人の車に乗車中に事故に遭い、右手を骨折。手術後に5日間の入院をしました。実際にかかった治療費用として、229万1,236円の保険金をお支払しました。

海外旅行保険に加入した場合、補償の限度額を超えなければ、自己負担はありません。補償の限度額はプランによって異なるため、旅行先の医療費が高額の場合は、治療費用の補償が充実しているプランを選んだ方がいいといえるでしょう。

アメリカでかかる医療費と保険の必要性

ご覧いただいたように、アメリカの医療費は非常に高額です。クレジットカードがあれば、支払能力を証明することができ、診療を受けられますが、自己負担が大きくなることは変わりません。ただし、かかった医療費が日本の健康保険で還付されることもありますので、確認しておきましょう。

旅行中の医療費は日本の健康保険で還付される場合もある

日本の健康保険には、「海外療養費制度」というものがあります。日本の健康保険に加入していれば、海外滞在中、病院にかかった際に支払った医療費が戻ってくるというものです。医療費は、現地の病院などでいったん支払う必要があります。

ただし、支払った医療費が全て戻ってくるわけではなく、支払対象となるのは日本で保険診療と認められているもののみです。自由診療部分や、日本で行われていない医療行為は対象外となります。治療目的で海外に行き、受けた分の医療費も対象外です。支払われる金額についても、日本国内の医療費が基準となります。自己負担額が多くなる可能性もあることを忘れないでください。

海外旅行保険は高額な医療費にも対応

健康保険の海外療養費制度が使えたとしても、アメリカで医療機関にかかると、非常に負担が大きくなることに変わりありません。そこで、いざというときに備えるために海外旅行保険への加入をおすすめします。

海外旅行保険加入は、外務省でも推奨しています。病気やケガ、盗難や破損などのトラブルやリスクに不足なく対応するためにも、アメリカに行く際は海外旅行保険へ加入しましょう。

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(*)
アジア旅行(個人・保険料抑えたいプラン・4日間)において、店頭販売商品(海外旅行総合保険)料率での計算と比較した場合

まとめ

アメリカ滞在中に、病気やケガで病院にかかる可能性はゼロではありません。もし、診療を受けたとしたら、数十万円~数百万円といったお金がかかってしまいます。海外で診療を受ける際のリスクを抑えるためにも、海外旅行保険への加入は必須といえるでしょう。また、海外旅行保険は、病気・ケガのためだけの保険ではありません。盗難や破損といったトラブル時の補償もあります。

現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、渡航を控えている人も多いでしょう。新型コロナウイルス感染症収束後に海外へ渡航する際には、病気やケガの心配を少しでも軽くするために、海外旅行保険で備えておきましょう。

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