人事・労務系のリスク
飲食店に必要な保険とは?
加入すべき保険の種類や補償範囲を詳しく解説
飲食店の営業においては店舗の火災や浸水、食中毒の発生など、さまざまなリスクが潜んでいます。また、それらを原因として一定期間お店を休業することとなり、売上が減少するリスクもあります。
飲食店などの店舗経営では、こうした事態に備えるためにも保険への加入が欠かせません。リスクが現実となった場合、売上への影響はもちろんのこと、店舗の修復費や損害賠償金もまた飲食店にとって大きな負担となります。では、飲食店が安心して営業していくためにはどのような保険が必要なのでしょうか。
本記事では、飲食店に伴うリスクと、それに備えたおすすめの保険の種類を詳しく解説します。
飲食店のリスクに備えた保険とは
飲食店は火災による建物や設備の損壊リスクをはじめ、お客さまに被害を与えるリスクや休業による売上減少のリスクなどがあります。事業者が加入すべき保険を考えるにあたって、まずは自身の店舗にどのようなリスクが潜んでいるか見直してみましょう。
火災などによる建物や設備の損壊に備えた保険
飲食店では火を取り扱うことも多く、火災保険への加入は必須といえます。また、火災以外にも水災や風災、地震、雪災など自然災害による被害も想定しなければなりません。店舗を借りている場合は原状回復義務があるため、火災や自然災害により建物に損害を受けた場合は修復が必要となります。
建物や設備の損壊リスクの事例は、以下のようなケースがあります。
【記録的な大雨により店舗が浸水してしまった】
台風や大雨により、店舗が浸水してしまう水害リスクがあります。浸水の度合いによっては厨房機器や備品が使えなくなり、修理や再購入の必要があるかもしれません。
火災保険の多くは、火災だけでなく大雨や台風による水害にも対応しています。しかし、保険商品によっては浸水の高さが要件を満たさない場合、損害に対して保険金が十分でないといったケースもあるでしょう。水害に備えるなら、浸水の高さの要件がなく、十分な保険金額を受け取ることができる保険に加入しておくと安心です。
第三者のケガや損害などの賠償責任に備える保険
飲食店では、従業員や店舗側の過失で第三者へケガや損害を与えてしまうリスクもあります。お客さまの持ち物を汚してしまった、ケガをさせてしまった場合などに備え、損害賠償保険にも加入しておくと良いでしょう。
店舗が提供したものによって第三者へ被害が及び、損害賠償責任が発生した際などは、PL保険(生産物賠償責任保険)や店舗向け賠償責任保険が適用されます。
これらの保険が適用される主な事例を見てみましょう。
【店舗で食中毒が発生してしまった】
飲食店を営業するうえで、食中毒のリスクには常に注意が必要です。厚生労働省「食中毒統計資料」によると、令和4年における食中毒の発生数は962件、患者数は6,856人に上り、そのうち約40%が飲食店で発生したものでした。
ウイルスや細菌が発生した料理を食べたことでお客さまが食中毒を起こした場合、慰謝料や損害賠償金を請求される可能性があります。実際に、40代の男性が飲食店の食事でカンピロバクター食中毒を原因としたギランバレー症候群を発症し、飲食店に1億円を超える賠償金が請求された事例もありました。
【出典】(公)日本食品衛生協会共済タイムスより
【従業員が飲食物提供中、お客さまにケガや損害を与えてしまった】
飲食店において第三者に損害を与えてしまうケースは、食中毒以外にも、飲食物の提供時にお客さまの衣類を汚してしまう、従業員のミスでお客さまを火傷させてしまう、などが想定されます。
衣類を汚した場合はクリーニング代、ケガをさせてしまった場合は治療費や通院にかかる交通費の支払いが求められるでしょう。不法行為でお客さまに危害を加えてしまった場合、民法722条の定めるところにより原則として金銭で弁償しなければなりません(2023年7月時点)。
【施設の欠陥によってお客さまに危害を加えてしまった】
飲食店の建物や設備の欠陥などによって事故が起き、お客さまへの損害賠償責任が発生する場合もあります。
例えば貸店舗の厨房にて水漏れが発生して下の階にまで影響が出たケースや、店の看板が落下してお客さまにケガをさせてしまったケースなどです。損害賠償責任が発生すれば、損害賠償金やケガに対する治療費などを支払う必要があります。
上記のようなリスクへ備えるには、PL保険と店舗向け賠償責任保険が有効です。
休業による売上減少に備えた保険
火災や自然災害による建物や設備の損傷、または食中毒の発生により、一定期間の店舗休業を余儀なくされた場合、売上が著しく減ることになります。休業中でも従業員の給与、店舗の家賃、光熱費などは必要になるため、店舗休業保険などへの加入が助けとなるでしょう。
店舗休業保険が適用される事例には、以下のようなものがあります。
【食中毒の発生で休業になったため、売上が一時的になくなってしまった】
食中毒の発生によって休業を迫られた場合、一時的に売上がなくなってしまいます。このとき保険に加入していれば、損害を補償できる場合があります。
ビジネスマスター・プラスの休業ユニット(ワイドプラン)では、条件に応じて食中毒や感染症による店舗休業の補償を受けられます。
その他
飲食店ではお客さまからのクレームが入ったり、売上金の盗難に遭ったり、従業員がケガを負ったりといったリスクもあるでしょう。悪質なクレーム被害を受けたときはクレーム対応費用保険、盗難に対しては店舗総合保険、従業員のケガは労災保険などで補償することができます。
これらの保険が適用される事例を紹介します。
【クレームや風評被害を受けた】
飲食店では、従業員の接客態度や提供した料理に対してクレームが発生することもあります。近年はSNSでの風評被害なども他人事ではなくなりました。悪質なクレームによって被るトラブルや負担を考えたとき、保険での備えが安心材料となるでしょう。
ビジネスマスター・プラスでは、クレーム等対応費用補償特約をセットすることで専門家によるクレーム解決サポートサービスを受けられます。
【店舗内で盗難が発生した場合】
倉庫に保管していた商品や事務所の金庫に保管していた業務用の現金などが盗難に遭ってしまうこともあり得ます。こうしたリスクに備えて盗難を補償できる保険に加入しておくことをおすすめします。ビジネスマスター・プラスの物損害ユニットでは、商品の盗難のほか事業用の現金の盗難にも備えることが可能です。
【従業員が仕事中にケガをした】
調理中や食事提供中など、飲食店での労働中に従業員がケガをしてしまうこともあるでしょう。こうしたリスクに備え、一人でも労働者を雇っている事業者は労災保険の加入義務があります。
労災保険とは、従業員が業務中や通勤中にケガや病気を被った、あるいは死亡してしまった場合に従業員自身やご家族(またはご遺族)が補償を受けられる保険です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
ビジネスマスター・プラスは飲食店のリスクを幅広くカバー
損保ジャパンのビジネスマスター・プラスは、設備の損害や食中毒などの第三者への賠償、店舗の一時休業による売上減少、従業員のケガ、売上金の盗難、クレーム対応など、飲食業におけるさまざまなリスクを幅広くカバーできる保険です。
1契約でこれらのリスクにまとめて備えられるため、補償漏れや重複を防ぎながらコストを最適化できます。
まずはお気軽にお問い合わせください。