ボイラー検査100周年の概要と歴史
平成23年12月で損保ジャパンのボイラー検査は100周年を迎えました。
明治44年(1911年)、損保ジャパンの前身のひとつである第一機関汽罐保険がボイラー検査の代行権を得て、ボイラ保険にあわせて検査業務を開始してから、おかげさまで平成23年に100周年を迎えることができました。これもひとえに行政をはじめ、お客さまおよび関係者各位の長年にわたるご指導、ご愛顧、ご支援の賜物と心から感謝申し上げます。
わが国において、損害保険会社が法律で義務づけられている検査を実施している例は、ボイラ保険の性能検査以外にありません。こうした業務形態は、19世紀中ごろ、英米において始められ、ボイラ保険はこれを範とし、災害防止の観点からお客さまの産業安全ならびに労働安全に寄与しております。
損保ジャパンのボイラー検査業務100年以上の実績を基に、今後も、皆様のご期待に沿うよう、資質の向上に努め、一層の発展を期しております。
損保ジャパンのボイラー検査
1.設立当初の検査
ボイラー検査の基本方針として、まず第1に、ボイラーの破裂事故の防止(防災)、第2に蒸気発生についての正しい使い方(保全)、第3に蒸気の経済的使用(熱管理)を掲げました。
検査業務の種類およびその内容は次のとおりでした。
- 定期検査:毎年1回、使用期間満了のときに行う使用期間更新のための検査
- 普通検査:ボイラーの使用中の状態を1年に数回程度訪問して行う外観検査
- 臨時検査:保険契約の際または契約者からの要望に応じて必要と認めたときに行う検査
2.汽罐検査規程制定(昭和19年)
第一機罐から安田火災への移行時に汽罐検査規程を作成し、判定に関しては次のとおりでした。
- 検査および試験により保険の目的に欠陥があると認められた時は、保険契約者または被保険者に修理を指示する。また事故発生の危険があると認められる時は速やかに所轄官公署に届出る。
- 検査、試験およびその他技術に関する事項は、汽罐構造規格、日本標準規格およびその他の法令によるものとする。
3.指示事項確認基準制定(昭和38年)
労働省からの通達「ボイラー及び圧力容器に対する代行検査業務の実施について」により、検査結果を合格とした場合においても、一定の措置を講ずることを指示したときは、「指示事項確認基準」により講じた措置を確認することになりました。当社では、合格で補修を指示したもののうち確認を要する指示事項を、臨場確認、文書確認、口頭確認の3種類に規定し、是正確認を実施することになりました。
4.検査判定結果変更(昭和47年)
労働安全衛生法施行時に労働省からの指導により業務規程を改定し、検査の結果は、合格、条件付合格、不合格が規定されました。判定が条件付合格になった場合は、指示事項の確認を検査後(指示内容により有効期間満了後1ヶ月以内)に行うことになりました。
5.登録性能検査機関移行(平成16年)
労働安全衛生法の改定により代行性能検査機関から登録性能検査機関になり、厚生労働省から検査基準として「性能検査に係わる検査の方法等」が通達として出されました。新制度の検査項目と検査方法は従来の検査判定基準とほとんど変わりませんが、検査の結果は従来の合格、条件付合格、不合格の3種類から、合格と不合格の2種類に変更されました。検査で判定基準に適合しない不具合があった場合は、有効期間内に補修しなければ検査結果が不合格と判定されることになりました。
6.開放検査周期認定制度(平成20年)
厚生労働省の通達により平成8年から検査方法の一部が緩和され、優良事業場に運転時検査が認められ、平成20年には開放検査の周期が2、4、8年まで拡大されました。当社では今までに約60事業所に対して認定制度を指導し、ボイラー、圧力容器合計で約3,000基が認定されました。
7.現在の検査体制
損保ジャパンの検査は単に合格、不合格の判定をするのではなく、事故やトラブル等のデータを元に予防保全のアドバイスを中心とした伝統的な検査を実施しています。また、必要に応じて不具合箇所の写真をアドバイスシートとして提供するなど、今後もボイラー検査を通じて企業の安全と安心を提供して参ります。
- ※ボイラー事故とボイラ保険の歴史についてまとめました。
このページは概要を説明したものです。詳しい内容については、取扱代理店または損保ジャパンまでお問い合わせください。