不定額・不成功無報酬方式(No Cure-No Pay)
海難救助は波浪などの海象・気象状況に大きく左右され、事前に救助の成功可否を判断することが難しい時があります。例えば、本船が荒天遭遇中に、完全に岩礁に座礁し、自力で離礁することが到底不可能であり、緊急に専門の救助業者を依頼しないと極めて危険な状態に直面したような場合、No-Cure No-Payの条件で救助を依頼することが賢明です。
No-Cure No-Payとは「救助が成功したらそれ相応の救助料を支払い、一方で救助に失敗したら一切の救助料を支払わなくてよい」という契約ですので、緊急の場合で、救助の成功が不明な場合には、事前に救助業者と救助費のネゴをする必要もないので、早急に救助活動が開始され、万一失敗したら救助費を支払う必要がなく、救助業者も救助費獲得のため必死で救助に専念します。
代表的な救助契約は国際的に使用されているロイズ・オ-プン・フォ-ム(通称LOF(PDF形式、179KB))※、または国内では日本海運集会所書式(JSE Form(PDF形式、391KB))があります。
LOF契約は2000年9月1日にそれまでのLOF1995からLOF2000に改定されました。LOF2000ではスコピック条項を挿入するか否かを契約時に決めることができるようになりました。スコピック条項については「海難救助と環境損害」をご覧ください。
また、日本海運集会所書式も2005年12月に改定され、LOF2000のSCOPIC条項と同様の特約条項を取り入れて、環境損害のおそれのあるなしに関わらず、タリフに基づく実費補償を受け取れる特約条項の発動を救助者が選択できるようになりました。
※Lloyd's. All rights reserved.
LOF and its supporting documents have been reproduced with the kind permission of Lloyd's.