修繕地の決定
通常、損害賠償請求のなかで一番大きな請求費目は修繕費です。当然衝突によって被った損傷ですから相手側に全額請求できますが、たとえ相手船の一方過失であったとしても、必ずしも全額回収できるとは限りません。船主には損害の防止・軽減を行う義務がありますので、最善の修繕地を決定する必要があります。例えば、衝突により大きな損傷を被り、即修繕が必要な場合、目の前に最善の造船所があるにも拘わらず、通常船主工事を行っている衝突地点より随分離れた造船所まで曳航したとしたら、相手側はこの曳航費を妥当として認容してくれるでしょうか。しかし、たとえ曳航費を掛けてでも通常使用している造船所で修繕したほうが全体的に安くなる場合はどうでしょうか。
これは修繕地選定の妥当性の問題であり、競争入札による事前見積を入手するなどして、最善の造船所を選定したことを立証しなければなりませんので、修繕地を決定する前に当社にご相談ください。